量子ビームを用いた先端計測

TRIMNでは大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設MLFで生み出される世界最高強度の中性子・ミュオンビームを利用してトライボロジー研究を推進していきます。光を用いた実験手法が数多くあるように中性子やミュオンにも様々な実験手法がありますが、摩擦や潤滑を観測する手法として、TRIMNでは以下の4つの実験法を利用していきます。

• 中性子共鳴スピンエコー法

  試料に当たった際に中性子スピンの回転位相が変化する様子を調べることで、試料における原子・分子の動きを数ピコ秒～数百ナノ秒の時間スケールで観察することができます。

• 中性子反射率法

  試料表面で反射される中性子の干渉を調べることにより、深さ方向に対して数ナノメートル～数百ナノメートル程度のスケールで膜の厚さ・界面の粗さ・密度の分布などを測定することができます。

• 超低速ミュオンスピン緩和法

  試料表面から数ナノメートル～数十ナノメートルの深さで狙った位置にミュオンを打ち込み、そこでの原子・分子の動きを数百ナノ秒～数十マイクロ秒の時間スケールで観察することができます。

• 磁気マーカーミュオンスピン緩和法

  鉄などのミュオンに敏感な磁性材料を試料内部に少量添加し、その動きを観察することによって間接的に非磁性試料の動きを数百ナノ秒～数十マイクロ秒の時間スケールで観察することができます。